トップコラムストレスチェックの結果ってどう活用すればいいの?知っておきたい活用法

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トップコラムストレスチェックの結果ってどう活用すればいいの?知っておきたい活用法

ストレスチェックの結果ってどう活用すればいいの?知っておきたい活用法

こんにちは。臨床心理士・公認心理師の前田です。

ストレスチェックは、労働者が自身のストレスの状況に気づくだけでなく、事業者が職場環境を改善して働きやすい職場を作ることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが主な目的です。

しかし実際には、ストレスチェックを実施したものの、その結果をどのように活用すればいいのかわからないと感じている企業様も多いのではないでしょうか。本記事ではストレスチェックの結果を活用した職場環境改善のためのヒントをご紹介します。

「仕事のストレス判定図」について

ストレスチェックの集団分析結果に「ストレス判定図」があります。ストレス判定図は、職場内の集団を対象に、ストレス要因の程度と各要因が労働者の健康に与える影響の大きさを評価するためのツールです。

4つのストレス要因である「仕事の量的負荷」「仕事のコントロール」「上司の支援」「同僚の支援」の程度と健康への影響を測定することができます。各要因の点数の高低によって、必要な対策が変わってきます。

ストレス判定図

仕事の量的負荷

仕事の量的負荷は、仕事の量や長時間労働などの仕事のボリュームに関する指標です。仕事の量的負荷が高い職場では、「個人の作業量の見直し」「繁忙期の作業方法の改善」「作業環境の改善」などの対策がオススメです。

特定のチームや個人あたりの作業量が過大になる場合があるかどうかを点検し、過大になっている場合は必要な改善を行いましょう。

繁盛記やピーク時などの特定時期に、個人やチームに作業が集中せず作業の負荷や配分を公平に扱えるように、人員の見直しや業務量の調整を行いましょう。

作業場のレイアウト、姿勢、操作方法などを改善することも負荷を減らす上で役立ちます。作業台の配置や肘の高さでの作業、パソコンの操作方法の改善など細かい部分にも着目しましょう。

仕事のコントロール

仕事のコントロールは、仕事の裁量権や自由度のことです。仕事のコントロールが大きい方がストレスを感じにくいとされています。仕事のコントロールが低い職場では、「少数人数単位の裁量範囲の拡大」「必要な情報の周知」「作業の指示や表示内容の明示」などの対策がオススメです。

具体的な仕事の進め方や作業順序について、少数単位または作業担当者ごとに決定できる範囲を増やせるよう調整しましょう。

朝の短時間ミーティングなど、情報交換の場を設け、作業目標や手順が各労働者に伝わり、チーム作業が円滑に行えるように配慮することも重要です。必要な情報はチーム全員に正しく伝え、共有できるようにしましょう。

作業のための指示内容や情報が作業中いつでも容易に入手し確認できるようにすることも役立ちます。見やすい指示書、表示やラベルの色分け、標識の活用など、工夫できることがないか考えてみましょう。

上司の支援

上司の支援は、マネジメントの適否に関する指標です。上司の支援が低い職場では、上司が職場をうまく管理できていない、上司と部下が一緒に仕事を進める体制ができていないといった問題がないか、検討する必要があります。

「上司に相談しやすい環境の整備」「適切な評価のフィードバック」「チャンスの公平な確保」などの対策がオススメです。

労働者が必要な時に上司や責任者に問題点を報告し、また相談しやすいように普段から職場環境を整えておくようにしましょう。上司に相談する機会を確保するだけでなく、サブリーダーを設置したり、相談しやすいように職場のレイアウトを工夫したりすることも役立つでしょう。

労働者が自分の仕事に対する評価を、実績に基づいて、納得できる形で、タイミングよく受け取ることができるように配慮しましょう。

昇進や昇格のモデル例、キャリア開発のための資格取得機会の有無や時期を明確にすることも重要です。労働者に公平にチャンスが与えられることが労働者に伝わるようにしましょう。

同僚の支援

一緒に仕事をしている職場の同僚が困った時に助言をしてくれたり、相談に乗ってくれたりする職場環境である場合、仕事のストレスは少なくなります。同僚の支援が低い職場では、「コミュニケーションがとりやすい環境の整備」「チームワークづくりの推進」などの対策がオススメです。

同僚間でさまざまな問題点を報告しあい、相談しあえるように、作業グループ単位で定期的な会合を持ったり、日報やメーリングリストを活用したりするようにしましょう。

懇親の場を設けたり、研修の機会を持ったりすることで、お互いを理解し支え合い相互に助け合う雰囲気が生まれるかもしれません。

様々な対策をご紹介してきましたが、すべてのストレス要因に関わるのが「相談窓口の設置」です。心の健康や悩み、ストレス、職場内の人間関係などについて、気兼ねなく相談できる窓口や体制を確保することで、労働者が安心して働くことができます。まずはやりやすいところから始めてみませんか?

(ライター:前田 わかな/臨床心理士・公認心理師)


参考:職場環境改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/hint_shokuba_kaizen/

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