トップコラム休職・離職予防に効くメンタルヘルス対策~カウンセリングの効果と活用のヒント~

コラム

トップコラム休職・離職予防に効くメンタルヘルス対策~カウンセリングの効果と活用のヒント~

休職・離職予防に効くメンタルヘルス対策~カウンセリングの効果と活用のヒント~

メンタルヘルスケアの施策として「カウンセリング」が有効だとは聞くものの、実際にどのような効果が期待できるのか、なぜ有効なのかまで整理できていない——実はそんな方も多いのではないでしょうか。
本記事では、株式会社マイシェルパの開催セミナー「休職・離職予防に効くメンタルヘルス対策 ~カウンセリングの効果と活用のヒント~」をレポートします。離職・休職の予防に向けた施策検討の一環として、カウンセリングの理解と活用のヒントをお持ち帰りください。

ー スピーカー:吉田 哲久(株式会社マイシェルパ 臨床心理士、公認心理師)
マイシェルパでカウンセリングを行っております、臨床心理士・公認心理師の吉田と申します。これまで約2000名ほどのカウンセリングを担当させていただきました。毎月のように休職者の方の対応や復職のサポートをさせていただいており、今回はそのような経験も生かして、皆さんに「休職・離職予防に効くメンタルヘルス対策」ということで、カウンセリングについてご説明をさせていただきたいと思います。

ストレスが心身に与える影響

まず、ストレスが心身に与える影響についておさらいしていきたいと思います。近年、仕事のストレスが問題視されるようになり、平成18年に国としてメンタルヘルス対策の指針が出されました。それだけでは足りなかったということで、平成27年には具体的な対策義務としてストレスチェック制度が始まりました。

しかし、ストレスチェック制度が始まって3年経っている平成30年と比べても、昨年度(2024年度)の精神障害による労災請求数は2倍以上になっており、ストレスチェックが開始されたにも関わらず増加しています。今後は50人未満の事業所でもストレスチェックが義務化されることになっています。 このように、メンタル不調による休職や離職は今後も増え続けると考えられ、会社としてのストレス対策は避けて通れないものとなっています。

ストレスは体への影響、心への影響、行動的な影響の3つに現れてきます。

身体的影響が出れば休みや早退が増え、最終的には休職に繋がります。心理的な影響は職場の雰囲気や心理的安全性に影響します。行動的影響としてはミスや先延ばしが増え、仕事のパフォーマンスが下がっていきます。 

また、ストレスは、うつ病や不眠症だけでなく、胃腸炎、高血圧、片頭痛、メニエール病など、さまざまな体の病気の発生にも関与しますし狭心症や皮膚疾患、腰痛などの悪化要因になるとも言われています。つまり、ストレスケアがしっかりできれば、体の病気の予防にも繋がるということです。 

カウンセリングの効果と有効性

そこで今回ご紹介させていただくのが、カウンセリングです。

カウンセリングとは、臨床心理学的な方法を用いて、心理的な課題の克服や困難の軽減に向けて支援するものです。 現在、世界各国のメンタルヘルスケア領域において、カウンセリングは薬よりも優先される「第一選択」となっています。その理由は、効果が薬と同じかそれ以上であること、副作用が少ないか全くないこと、再発予防や自己成長にも繋がることです。この再発予防や自己成長は薬では得られない効果であり、多くのエビデンスも出ていることから、最も効果的なストレスケアの一つと言えます。

最初に、よく勘違いされる「病院との違い」についてご説明します。まず根拠となる学問が違います。病院では医学、カウンセリングでは心理学が用いられます。治療方針も異なり、病院では薬を用いて体に働きかけますが、カウンセリングでは様々な技法を用いて問題や課題の原因に働きかけます。

例えば、車で事故を起こして車が壊れたとします。整備士さんに修理をお願いするのがお医者様(ハード面の修理)です。一方、カウンセラーは「なぜ事故を起こしてしまったのか(飲酒運転だったのか、カーブで膨らむ悪い癖があったのか)」という原因に働きかける指導員のような役割で、事故を起こさない運転方法の習得を目指します。

精神科や心療内科のお医者様が話を聞いてくれないという方がいますが、整備士が運転方法に口出ししないのと同じで、お医者様とカウンセラーは業務内容が全く違います。 WHOでは「初期治療は薬を使ってはいけない、まずカウンセリングをやりなさい」とされていますし、イギリスの国の方針でも「カウンセリングの方がエビデンスがありコスパが高い。薬は副作用の可能性があるのでデフォルトにすべきではない」とされています。病院とカウンセリング、この両方の違いを知り、うまく使い分けることが重要です。

なぜカウンセリングを受けないのか?

精神科・心療内科では予約待ちも発生しているにもかかわらず、なぜ多くの方はカウンセリングを受けないのでしょうか。実際によくいただく声として、「話すだけじゃストレスケアにならない」「体の不調だからメンタルは関係ない」「メンタルの病気の人が使うもので私には必要ない」「説教されそう」「話がまとまっていないから意味がない」「職場のことを知らない人に相談しても無駄」といったものがあります。 これから分かるのは、カウンセリングを受けようとする人も勧める人も、カウンセリングの本当のところを知らないということです。

カウンセリングのメカニズム:脳の整理と無意識へのアプローチ

それでは、実際のカウンセリングで何をしているのかご説明します。

ストレスは脳にダメージを与えて働きを低下させることが脳科学の研究により分かっています。脳がダメージを受けると、客観的・理性的な判断や整理が難しくなり、頭の中が断片的で感情的なストレスでいっぱいになってしまいます。 

人間は生存のためにネガティブな情報を保存しておく習性があります(例えば毒キノコを食べてお腹を下したら忘れないようにするなど)ので、大きいストレスほど脳内に残りやすく、自分だけのセルフケアではどうにもならないことがあります。

カウンセリングでは、これらのような断片的・感情的なストレスに対して、まず「言語化」を行います。言語化をしていくうちに、ストレスから主観や感情的な部分が抜け、単なる情報処理へと変換されていきます。言語化することでストレスが整理可能な情報に変換されるのです。 しかし、これを1人でやるのは困難です。なぜなら人間には「無意識」があり、それによってストレスから逃げるように作られているからです。

心理学的な無意識とは、自分では意識できないもので、声のトーンや言い間違い、会話の間などに現れます。これはAIには読み取れません。カウンセラーが予想外の質問をしたり、声のトーンなどを指摘したりすることで、自分だけでは気づけない無意識のレベルにアクセスして整理していくことができます。これは現在カウンセリングでしかできないことです。

カウンセリングの効果と脳科学的エビデンス

このように、ストレスでいっぱいだった脳が、話すうちにただの情報に変換され、脳の容量が空いていきます。周りから見たらただ話しているだけに見えますが、その裏にはカウンセラーの高い技術が存在しています。 

脳の整理ができれば、業務に割ける容量が増え、プライベートも充実します。つまりカウンセリングは、調子が悪い方だけでなく、パフォーマンスの向上にも役立ちます。データでも、カウンセリング後に仕事の生産性や生活の満足度が上がっていることが実証されており、メンタルヘルス全般において非常に有効なソリューションです。 

さらに最近の脳科学では、カウンセリングによって脳の異常な活動パターンが正常化し、不活性領域が活性化されることが分かっています。また、カウンセリング(認知行動療法)と抗うつ薬は異なるルートを通りますが、最終的には似たような脳の回復に到達することも示されています。カウンセリングは、脳に変化を与えられる科学的な技術なのです。

 皆さんのイメージにあった「説教される」「話を聞くだけ」といったものがカウンセリングではなく、カウンセラーと一緒に整理・分析を行い、脳を整理していくのが本当のカウンセリングです。整理分析がしっかりできれば、自然と解決策も見えてきます。 

カウンセリングは時間がかかるのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、薬は効くまでに約1ヶ月(2〜4週間)かかり、1種類で効かない場合もあります。精神科の予約待ちも含めると、数ヶ月何の効果もない時間を過ごすこともあり、その間にカウンセリングを行った方が早い場合もあります。

 カウンセリングの実際の事例

ここからは実際の事例をいくつかご紹介します。

※下記で提示する事例は、クライエントのプライバシー保護および個人情報の秘匿を第一 に考慮し、特定の個人が特定されることのないよう、複数の類似事例から得られた臨床的特 徴を統合し、一つのケースとして再構成したものです。 記述にあたっては、論旨の本質を損なわない範囲で、事実関係の一部に改変・抽象化を加 え、エピソードの順序や周辺状況についても適宜修正を講じています。したがって、実在する特定の個人や団体との関連はありません。

【事例1】20代男性(入社3年目)の休職・復職支援

持ち前の責任感の強さから3年目でリーダー職になりましたが、まとめ役の経験がなく、仕事を抱え込んで過重労働となりメンタル不調になってしまいました。病院に行き「適応障害」と診断されて休職しましたが、迷惑をかけたくない一心で診察時に嘘をつき、すぐに復職してしまい、またすぐ休職してしまいました。 

カウンセリングでは、自分の状態について話してもらうことで客観視を進め、具体的なリハビリを考えて実施してもらいました。リハビリの間に、仕事の抱え込み(休職の理由)について振り返り、再休職の予防や対処法を検討しました。結果として復職・定着に成功し、マネジメントスキルも向上しました。

事例2】40代女性(入社15年目)の人間関係改善

異動先で人間関係のトラブルを起こし、被害的に受け取る傾向があり、周りからも避けられていました。気に入らないことがあると「ハラスメントだ」と訴えており、本人も人間関係がうまくいかないことに悩んでいました。 

カウンセリング(認知行動療法)で、思考の癖や受け取り方についての客観視を行いました。本人は「こんな考え方をしていたんだ」と無意識の思考に気づき、適切な考え方の習得や、人間関係のスキル(伝え方など)の練習を行いました。本人の「うまくいきたい」という希望もあり、人間関係のスキルが向上し、職場の雰囲気も良くなりました。

【事例3】20代男性(入社1年目)の離職防止

入社数ヶ月ですが、同じ部署の人が次々と辞めていくのを見て「この会社はやばいのでは」と自分も退職を考えていました。会社のカウンセリングサービスを知り、自分の判断が正しいか相談に来ました。

 カウンセリングでは、他の人が辞めた理由の分析や、本人の得意なこと、この会社を選んだ理由、今後のキャリアについて一緒に検討しました。その結果、「他の人は別の都合で辞めただけで、自分は辞める必要はない」と思い直すことができました。ただし忙しい会社であることは間違いないため、社会人としてのストレスケアの基礎知識をお伝えしました。結果、離職を防ぎ、仕事へのエンゲージメントも向上しました。

おわりに

ストレスケアやメンタルヘルスに関しては、学校では教えてくれないため、知識が不足している方が多いです。カウンセリングでは、ストレスやメンタルヘルスに関する基礎知識の習得や、ストレスの多い新入社員のセルフケアの習得などにもご利用いただけます。

私どもマイシェルパでは、オンラインカウンセリングを含め、様々な研修やストレスチェックなどを提供しております。品質も保証されておりますので、気になることがあればお問い合わせください。

>マイシェルパのメンタルへルスサービス

本日はありがとうございました。

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